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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12の感想、考察などなど

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俺ガイル12巻表紙

今回は2017年9月21日にガガガ文庫から刊行されました『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。⑫』を読了しました。
毎度のことながらシリーズ途中からの紹介です。
個人的に好きな作品でもあり、ラブコメながら考察が捗る作品なので絶対にブログで書きたいと思ってました。


簡単に作品紹介をしておきます。
超人気タイトルなので「知っとるわボケ!」って方はとばしちゃって下さい。
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』こと『俺ガイル』はこのライトノベルがすごいで3年連続作品部門1位を獲得して殿堂入りを果たし、累計発行部数700万部も突破し、TVアニメも2期までやっている超超超人気作です。
著者の渡航先生は『俺の妹』などの著者である伏見つかさに並ぶ、出たがり作家です(偏見)。
イラストのぽんかん⑧先生はアニメ『SHIROBAKO』のキャラデザなどしている方です。
どうでもいいけどぽんかんってひらがなで書くと可愛いですよね。
内容として高校生の主人公、比企谷八幡を中心とした青春群像劇なっていますが、主人公がぼっちをいうことで感情移入しやすく、所々にパロネタが入っていてとても読みやすい作品です。
ヒロインが可愛いのも魅力ですが、登場人物が全員、本当に生きているかのように感じることができるのがこの作品の最大の特徴だと思います。
しかし、大半が面倒くさい性格をしていて敢えて答えを言わないような思わせぶりな発言ばかりするので、読者としては考察し甲斐があるなぁと読む度に思っています。


さて、そんな俺ガイルの12巻ですが、12巻から最終章になるそうです。
最終章と聞いて読んだら終わりに近づいてしまうと思うとなかなか本を開くことができず、気づいたら半年経ってました。これ結構あるあるだと思うんだけどなあ。
12巻の内容としては11巻のラスト、雪ノ下が「私の依頼、聞いてもらえるかしら」と言った場面の続きとなっています。
12巻の刊行が11巻から2年経っていることもあり、11巻の途中から読み返しました。この作品何度読んでも面白いから困る。


ではではこれ以降は既読前提でなのでまだという方は是非12巻を読んでからをお勧めします。
これから書きますが、くっそ長くなると思います。

※以下ネタバレあり







幕間

Interlude・・・
12巻では数ページのInterlude・・・が3つ差し込まれています。
俺ガイルではよくある独白ですね。10巻の手記が強く印象に残っています。
その一つが最初のページです。
内容としては11巻の直後の誰かの心情を表したものでした。

――本当は。
冷たくて残酷な、悲しいだけの本物なんて、欲しくないのだから。


このInterlude・・・は八幡のものだと思いますが、残りの2つのInterlude・・・(後述しますが)に関しては由比ヶ浜のもので間違いないでしょう。
答えを口にするべきでそれは終わりを告げる合図でもあり、得られるものは冷たくて残酷な、悲しいだけの本物だけ。
ここから察するに八幡としてはもう答えは出ているみたいです。
答えが出ているのにそれを読者に知らせないのが俺ガイル。


雪ノ下雪乃の依頼

雪ノ下は県議で、建設会社の社長である父親の仕事を継ぐというのが夢らしい。しかし、それは姉の陽乃さんの役割だと母親よって決められてしまっている。

「・・・私の依頼はひとつだけ。・・・あなたたちに、その最後を見届けてもらいたい。それだけでいいの」


11巻から繋がる雪ノ下の依頼は、その夢について母親としっかりと話し、諦めるとしても自分の意志で決めたいというもの。
いよいよラスボスの雪ノ下母が深く関わってくるみたいですね。陽乃さん以上とか勝てる気がしない(絶望)。


正直、気になったのは雪ノ下の依頼の内容よりもそれを聞いた時の由比ヶ浜の反応ですね。

「ゆきのんの答えは、それ、なのかな・・・」


おそらく、由比ヶ浜の欲しかった答えとは違うものだったのでしょう。
後に、雪ノ下の家で報告を聞いた陽乃さんが「・・・ああ。そっちか。わたしが聞きたい話じゃなさそうだね」と言った後、「ね?」と由比ヶ浜に投げかけているので間違いないはず(間違いないとは言っていない)。

「これからどうしよっか?」
(中略)
「ゆきのんのこと。それと、あたしのこと。・・・あたしたちのこと」


由比ヶ浜について、11巻では八幡が「由比ヶ浜はたぶんまちがえない。彼女だけはずっと、正しい答えを見ていた気がする」と、12巻では陽乃さんが「本当に勘がいい子だよ。全部わかってるんだもん。雪乃ちゃんの考えも、本音も、ぜーんぶ」と言っている。
全部わかってる由比ヶ浜をわかっている陽乃さん、っべー。
由比ヶ浜は雪ノ下が八幡に抱く感情を全てわかった上で、決着をつけようと話を切り出した。
つまり、11巻の最後から由比ヶ浜が言っている答えというのは奉仕部3人の関係のことで、雪ノ下の依頼はそれとは違うものだったから当たり前の反応ではある。
それでもここで追求しないのが最高に由比ヶ浜らしい。いい子過ぎる(涙)。

でも、雪ノ下は3人の関係について言及するのが怖くてこの依頼をしたわけではなく、本心からの依頼なのは事実だと思う。


本物の雪ノ下陽乃とは

12巻では強化外骨格や完璧悪魔超人と呼ばれた陽乃さんの本心が垣間見えた気がします。
今までの陽乃さんは八幡たちの関係を面白おかしくかき回してくる厄介な相手とい印象でしたが、12巻では雪ノ下に協力を申し出たり、酔っているわけではないが大量のお酒を飲んだりと人間らしさが見えました。


陽乃さんは雪ノ下の自立を促すためにたくさんの行動を起こしてきたように思えてきました。
雪ノ下が自立できるのならば、雪ノ下の友人はもちろん雪ノ下自身にもちょっかいを出す。
優しく言えば不器用なシスコンみたいなものですが、どこか恐ろしい執着のようなものも感じます。
陽乃さんみたいな姉に振り回されたい人生だった。

「どんなにお酒を飲んでも後ろに冷静な自分がいるの。自分がどんな顔をしているかまで見える。笑ったり騒いだりしても、どこか他人事って感じするのよね」


陽乃さんの珍しい自分語りですね。本心でしょう。
陽乃さんが八幡を気に入っている理由は自意識の化け物である八幡とこういう自分に同じところを見出しているからかもしれない。
実際に八幡に対して「君は酔えない」と言ってます。
陽乃さんと朝までコースしてみてえ。


一色いろははぶれない

今回も奉仕部に依頼を持ってきてくれるのは一色でした。
自分がプロムクイーンになりたいからという彼女らしい理由でしたが、1人で何かを成し遂げたい雪ノ下にとっては最高のタイミングだったのでしょう。
好きな映画の下りは聞きたくなかった(絶望)。

雪ノ下母に食ってかかるところもなんとも一色らしい、もしかしたら彼女にしかできないことのように思えました。

あと、なんで一色が奉仕部のライングループに入ってるんですかねえ。
しかも『いろいろいろはす』って、…最高に可愛いんだが!


比企谷八幡はお兄ちゃんである

12巻では八幡をお兄ちゃんと強く印象付ける台詞が点在している。
初めは小町や川崎と京華ちゃんのエピソードから雪ノ下姉妹との対比のようなものだと思っていたが、その実は兄弟ではなく八幡の一貫した行動にスポットライトをあてたものだった。


結論から言ってしまうと八幡は雪ノ下との関係を陽乃さんに共依存だと言われる。
八幡は雪ノ下から頼られ、助けることで満足感を得ているのだということである。
正直、このシーンのインパクトは大きかった。
『依存』という単語がこの作品に出てきたのはおそらくこれが初めてというのも理由の1つだ。
しかしそれ以上に12巻のメインとなるプロムの依頼が出てくるまでの京華ちゃんを甘やかして川崎に怒られる話、小町が兄離れをする話、依頼が登場した後の一色に「過保護」と言われるシーンで強く印象付けた後に、応接室で八幡が雪ノ下に手を貸そうとする決定的な場面で陽乃さんが決定的な言葉をぶつける。

「・・・まだ『お兄ちゃん』するの?」


その後陽乃さんに共依存だと指摘される。
話の運び方が美しくこのための伏線だと考えると作者には脱帽する他ない。
よくよく考えてみると既刊でも八幡が世話を焼く描写はいくつか思い出せる。
こういう話の作りは本当に綺麗に思える。


ぼっちではなくなった八幡も結局のところ、根本的な部分は変わっていない。
そう印象付けられた。


あと、別にロリコンじゃないけど京華ちゃんの出番もうちょっと欲しかったです。ロリコンじゃないけどね。


由比ヶ浜結衣はずるいと言う

Interlude・・・

12巻の表紙は儚げな表情をした雪ノ下のイラストですが、本文では由比ヶ浜に焦点を当てた内容になっています。
理由としては、やはりこの2つ目、3つ目のInterludeの存在が大きいです。
前述もしましたがこの2つのInterludeは由比ヶ浜のものでしょう。
この作品で八幡ではない視点というのはとっても貴重で今回は由比ヶ浜の心情を読み解くことができる重要なものになっています。

由比ヶ浜が写真を見つけた時には鳥肌が立ちました。
おい、マジかよ。いや、本当に勘弁してくれよ。

写真が置いてあったのは雪ノ下が好きな可愛いぬいぐるみが置かれた一角。
明らかに大切にしているというのが伝わってくるのが逆に苦しい。
見つけたのが由比ヶ浜でさえなければ、「雪ノ下も乙女なところあるんだな。可愛いな(萌えブタ)」って言えてたのに。
ただただ胃が痛い。マジで。


由比ヶ浜は11巻の最後から何度も『ずるい』という単語を使っている。

具体的な言葉にはなっていないが由比ヶ浜は八幡に好意を寄せているのは事実だろう。
しかし、由比ヶ浜は雪ノ下と八幡が両思いなのだと思い込んでいるが故に八幡の気持ちを知るのが怖い。
もしかしたら認めたくはないのかもしれない。
聞いてしまったら認めざるを得ないから。

彼女の気持ちを聞くのはずるいことだ。
自分の気持ちを言うのはずるいことだ。
でも、彼の気持ちを知るのは怖いから。
彼女のせいにしているのが一番ずるい。

初めの「彼女の気持ちを聞くのはずるいことだ。」は雪ノ下は気持ちを聞かれれば否定することがわかっているので、それを知った上で聞くのはずるい。
次の「自分の気持ちを言うのはずるいことだ。」は雪ノ下の気持ちを知りながら八幡に気持ちを伝えるのは、所謂抜け駆けのようなものでずるい。
最後の「彼女のせいにしているのが一番ずるい。」は自分が気持ちを伝えない理由に雪ノ下の気持ちを利用していることがずるい。


優しく、人の感情に敏感な由比ヶ浜らしい考えで、雪ノ下のことを心から愛しく思っていることが反対に自分を縛り付けてしまっている。
本当にいい子だからこそ動けない状態になってしまっていることがわかる。
なんともいたたまれない。
文字数が綺麗に揃っているのもどこか気持ち悪く思えてしまう。

――本物なんて、ほしくなかった。

本物は言わずもがな八幡の欲しいといった本物でしょう。
由比ヶ浜は八幡と雪ノ下の間には自分との間はない何か、八幡の言う本物があることに昔から気づいている。
八幡の言う本物は『言葉にしなくても分かり合える関係』であり、由比ヶ浜は『言葉にしなければ分からない』と考えている。
この違いは決定的で、八幡と自分の間には本物は成り立たないと理解してしまっているが故に、「本物なんて、欲しくなかった。」。


自分の足で歩き始めた雪ノ下、人付き合いの意識が変化しつつある八幡、に対して何一つ変わっていない立ち止まったままの由比ヶ浜
由比ヶ浜は変わる必要がなかった言われればそこまでですが、ここは明らかな対比が見られます。
12巻では最初から最後まで由比ヶ浜にとって辛い内容に思えます。
あー、抱きしめてあげたい(童貞脳)。


比企谷八幡由比ヶ浜結衣の関係は

八幡と由比ヶ浜が小町へのプレゼントを考えながらショッピングをする場面。
八幡から誘ったということもあり、最高に微笑ましい場面ではあるがそれだけではないのが俺ガイル。

実際、手作りというアイデアは悪くない。貰った側の心に強く訴えかけるものがあるし、何よりも手間暇をかけてくれた事実に胸を打たれる。それが憎からず思っている相手ならば、なおのこと。
本当に、心が揺れる。

これが指すのは11巻の最後に由比ヶ浜がお礼として渡したクッキーのことだろう。
わざわざ、『本当に』と強調しているところからも他とは比較にならないほど八幡の心が揺れたのだと思う。

この場面や八幡が陽乃さんに奉仕部3人の関係を聞かれ、三角関係と答えたことから八幡自身も由比ヶ浜の好意に気付いていることがわかる。
人の言葉の裏を読む癖のある八幡にとっては素直に信じられないのも事実。
まあ、憎からずって言っているから脈ありみたいな感じなんですかね。
八幡、贅沢すぎません?(憤怒)


そして『心が揺れる』の正体ですが、大きく分けて3つ考えられるのかなと思います。

1.他人からの好意を素直に信じないと決めていた『心が揺れる』
2.雪ノ下に好意を寄せる『心が揺れる』
3.由比ヶ浜に好意を持つ『心が揺れる』

3つ出しましたが、可能性としては1が圧倒的。
2,3は似たようなものですし。
相変わらず情報が少なすぎるので次巻を待つしかない。


正直ここまでの12巻としては由比ヶ浜ルートに入ったなと思わせるような内容だったように思います。
でも、そのまま終わらないのが俺ガイル。



ラストシーン。
見開きの挿絵を含めたたった10ページです。
八幡と由比ヶ浜が小町へのプレゼントのケーキを作りに向かう途中、プロムの中止を知らされる。
八幡は平塚先生に電話を掛けた後、雪ノ下を助けるために走り出す。一人で。

平塚先生との電話で八幡がしっかりと言葉にしたのも印象的でしたが、個人的にはその前の平塚先生の「ごめんね」という台詞が好きですね。
いつもなら「すまない」と言いそうですが、より優しい印象を受けました。

「・・・そっか。でも、ヒッキーが行ってくれるなら、なんとかなっちゃいそう」
そして俺を肯定してくれるように、うんうんと大きく何度か頷いた。その拍子に、つっと、光る雫が流れた。それを目にした瞬間俺は息を呑む。けれど、俺が呆けるくらいに驚いたからか、由比ヶ浜も自身の目元に気づいて、すぐに頬を指で拭った。
「え、あ、なんか安心したら涙でてきた。びっくりしたー・・・」
(中略)
「やー、わかんないことだらけだったから・・・。なんかひとつでもわかるとほんと安心する。むしろ今だいじょうぶになった感じ」


12巻では涙がいくつかありますがこの由比ヶ浜の涙が一番重いものに感じます。
この場面で由比ヶ浜は自分との約束よりも雪ノ下を助けることを優先した八幡を見て、確信した。
八幡は由比ヶ浜よりも雪ノ下を大事にしていることを。
失恋に近いものだからこそ涙が流れてしまったのでしょう。
俺ガイルにしてはわかりやすい表現に思えます。

涙を流して明らかに普通ではない由比ヶ浜の気持ちを察することができないのがなんとも八幡らしい。完璧に悪い意味で。
涙を止める由比ヶ浜は本当にいい子(涙)。


Interlude・・・

そして畳みかけるように最後のInterlude・・・。

八幡を困らせないために涙を止めた由比ヶ浜
しかし、最後に『涙が止まらなければよかった』と思ってしまう彼女はずるいのだろうか。


感想

初めにも書きましたが11巻から12巻の間に約2年という長い期間がありました。
これに関しては様々な意見があるようですが、個人的にはどれだけ時間がかかってもいいから作者の思う最高の物語を書いてほしいと思います。私も昔は…(唐突な自分語りはNG)。


前述したように12巻では多くの涙が印象に残っています。小町、八幡、由比ヶ浜、雪ノ下も瞳を潤ませるような場面がありました。
だからなんだという話なのですが、涙を見せるほど感情を表に出したのかなぁと思います。
特に八幡は涙だけでなく、怒鳴る場面があり、かなり感情的になっていた印象です。
らしくないといえばらしくない。

雪ノ下の八幡に向ける感情も依存だけなのか、それとも。

また、出番の少なかった葉山ですが物語に雪ノ下家が関わってくることから彼が何かしらの行動を起こすのは確実でしょう。
その際にどのような立ち位置になるのかが気になりますね。


前までは八幡が最後には誰とくっつくんだ?という目線でこの作品の終わりを楽しみにしてましたが、12巻を読んだ後では登場人物一人一人がどのような答えを出すのかを見届けたいと考えてました。どうして考えが変わったのかはわかりません。もしかしたら歳を取ったからかもしれません(絶望)。


あとがきがない12巻だったのでわたりんファンの皆さんは涙を流していることでしょう。


つらつらと自分なりの考察はしてみましたが、これが合っているはずはなく正解なんてもの作者の中にしかないと思います。
また、考察ということで長く堅苦しい文章になってしまいました。
何とも自分らしくない。
読み終わったことですし、これから色々な人の感想、考察を読んで回りたいと思います。

Google先生で『俺ガイル12巻 感想』と検索をかけながら。